うつ病と診断、そして休職
病院で待つこと1時間、看護婦さんがアンケートのようなものを持ってきて書かされた。きれいな字で書けない。再び1時間経過して診察室に入った。呂律がうまく回らないというか活舌が悪いというか、どもりもあって、多くのこと話せなかったのがもどかしかった。「うつ病の症状だね。しばらく休んでみなさい」そんなことを言われたと記憶している。
聞いたことが無い薬を色々処方された。当時は精神科のロビーで薬を処方してくれて、薬局へ行く手間が省けていた。1か月くらい先に次の診療が待っているが、調子が悪ければいつでも来なさいと言ってくれたのがありがたかった。有給休暇も20日ほど残っていたので少し長い休暇をとることにした。帰宅後、休暇のことを会社に電話して伝えた。
新しい薬は夕方に飲むように指示された。後でそれがSSRIと言われる抗うつ薬だと知った。当初は飲むと吐き気が酷く、飲むのが嫌だったが仕方なしに飲んだ。吐き気止めのナウゼリンが処方されていたので一緒に飲むことにした。
毎日がごろごろする生活だった。好きだったテレビもまず見ることもなく、4畳の狭い書斎(納戸)でパソコンを眺め、少し手を出していた株式投資などをやって時間をつぶすような感じである。1週間ほどして夕方に課長から電話がきた。「仕事がたまってるよ。早く治して出社してね。」こんな一言があったと記憶している。
夕方近くなると午前中に比べると何となく元気が出て、会社に行けそうな感じもしていたが積まれた仕事を考えるとやはり行く気にはなれない。夕方飲む薬にもなれたのか、吐き気は無くなった。運動不足で夕食はある程度摂っていたので徐々に体重が増えている感じがしてきた。
朝はとにかく気分がすぐれない。ベッドから立ち上がるのもおっくうなほど。深夜に何度か目も覚ましているので寝不足気味なのだろう。そんなとき、ふと犬を飼ったら心が安らぐのではないかと思い、大型犬、それもゴールデンレトリーバーの子犬を飼うことを決め、早々にインターネットで調べた。高い。15万円はする。犬が高い安いっていうのは、雑種を子供のころから飼っていた自分にとっては理解しがたいものだった。
だが色々調べた内容で、しっかりとしたブリーダーのところの犬が良いということがわかり、たまたま実家の知り合いにゴールデンレトリーバーを扱っているところがあり、生まれたばかりの子犬がいるという情報を得た。値段は30万以上。予防接種などがあり、5月くらいに渡せるとのこと。写真を送ってもらい、1匹に絞った。メスである。お金を払って犬を買う、という行為に抵抗はあったが病気療養のため背に腹は代えられないと思い大金を用意した。
有給休暇から休職へ
普通なら待ち遠しく感じるところだが、どうも喜怒哀楽の振幅が狭い。そして薬のせいかもしれないが、いつも眠い。何もしない、外に出ない日が何日も続いた。そして1か月程度経過して、有給休暇をほぼ使い果たす日がやってきた。
症状に改善が全くみられないため病院で診断書をもらってきて、休職届を会社に送った。すぐさま部長から電話が来て、状況を話した。社内教育のおかげなのか、すんなりと承諾してくれた。給与は80%に減額されるが休んでいても支給される。ありがたい制度である。2年間の期限付きではあるが。早く治して会社へ戻らなければ...という忠誠心みたいなものが休職と同時に無くなった。心おきなく休む、そう決めた。それまでは心のどこかで休むことに罪を感じていた。
しかしそれと同時に家族の様子も変になっているようだった。言われるまで気づかなかった。家のローン、教育費など心配ネタが増えたことによる心労のようだ。しかしこれがまた自分へ跳ね返ってきたことで調子が崩れた。このころから自ら命を絶つことを時々考えたりするようにもなった。苦しいとか痛いとかそういうことは全く考えない...死ぬことが怖くないのだ。心のコントロールができないではなく、そういう心の持ち主になってしまている。常に自身の存在を否定している自分に遷り変ってしまった。
